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ドゥカティだけが採用してきたデスモドロミック機構

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デスモドロミック機構とは

ドゥカティといえば、2022年シーズンにはMotoGPとワールドスーパーバイクの両方でチャンピオンを獲得したことで有名です。
ドゥカティはイタリアの名家で、起源は古代ローマまで遡ることのできる名門として知られています。
レースに強いバイクを生産していることでも有名で、レースに勝つためのドゥカティの大きなポイントが「デスモドロミック機構」です。

デスモドロミック機構のメリットとデメリット

デスモドロミック機構を設計したのは、ドゥカティが名門のモンディアルから迎えたファビオ・タリオーニ技師です。
同技師が考案したデスモドロミック機構というのは、4ストロークエンジンの排気口バルブ強制開閉機構のことで、最初にこの機構が採用されたのは1956年の125GPマシンだと言われています。
これ以降、ドゥカティではレーシングマシンのみならず、ほとんどの市販マシンにデスモドロミック機構を装備することになります。

デスモドロミック機構は一般的なバルブスプリングとは違い、バルグスプリングを採用していないことが大きな違いです。
バルグスプリングを使用しないため、高回転時に正確にバルブを開閉できるようになり、しかもカムのプロフィールの自由度が大きくなるのが最大のメリットです。

デスモドロミック機構にはデメリットももちろんあります。
スプリングバルブ方式と比較するとどうしても部品点数が多くなってしまい、しかも製造コスト・製造コストが高くついてしまうのがデメリットと言えるでしょう。
また、シリンダーヘッドの重量が大きくなりやすいといったデメリットも考えられます。
バルブを開くロッカーアームのみでなくて、閉じる側のクローズロッカーアームのバルブクリアランス調整も必要になることなどがデスモドロミック機構のデメリットして挙げることができます。

市販車にも搭載されているデスモドロミック機構

ドゥカティでは、レーサー用の特別車だけではなくて市販車にもデスモドロミック機構を搭載しています。
リーズナブルなV4デスモドロミック機構搭載車・ストリートファイターV4の価格は268万9000円ですから、意外と手軽にデスモドロミック機構の良さを味わうことができることに気がつくはずです。
このランクの価格でMotoGPマシンとほとんど同じエンジンを手にして味わえるのは、間違いなくドゥカティだけだと言えます。

デスモドロミック機構を搭載した市販車としては、2023年に発売された「パニガーレV4 R」と「ストリートファイターV4S」の他に、「モンスターSP」や「スクランブラーICON」なども有名です。
ノンデスモドロミック機構車に乗りたいという人には、2021年に発表された「V4グランツーリスモ」エンジンもおすすめです。